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BOSE AW-1の部分修理(その4) [電子回路]

前回からの続き)

 最後の基板に取り掛かる。筐体の底にあるネジ全てを取り外すと、基板を取り出せる。
底板を外したところ
電源トランスがあるので、かなり重い。ネジを外すと底板から基板が外せる。
底にある基板を取り出したところ
大雑把に配線を追うと、中央は電源回路、右側は中高音域のパワーアンプ回路、左側は低音域のパワーアンプ回路となっているようだ。汎用オペアンプM5128ALは低音域用で使われているので、敢えて交換する必要は無さそう。
 筐体側には低音部用スピーカが見える。右側の丸いカバーの部分にスピーカが入っている。
筐体には低音部スピーカが入っている
形状からしてスピーカ以外の部品は恐らく無いだろうし、どのようなセッティングでスピーカが調整されているのかは分からないので、わざと分解しないままにしておく。
 なお、この低音部のスピーカを取り出してしまい、再び元通りに組み立てて「一応音は出た」などと言う表現で売られているものもあるらしいので、AW-1を購入する際には必ず確認する方が良さそうだ。

 他の基板と同じように、この基板も音声信号経路上のコンデンサをオーディオグレードに交換する。
基板のコンデンサを交換し終わったところ
外したコンデンサのESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)を測定したら、どういう訳か抵抗値の高い物が多い。
外した電解コンデンサのESRは高い
220μFのコンデンサ2個のみが1Ω前後、それ以外は全て5Ω以上だった。アンプ回路は負荷が高かったのだろうか。
 これで一通りコンデンサとオペアンプの交換が終わった。

 改めて今回交換した部品についてまとめると、音声信号経路上にあって音質劣化が懸念される部品をオーディオグレードに交換した訳だ。具体的にはオペアンプ2個と電解コンデンサを40個ほど交換している。
 コンデンサ交換の判断は本来なら回路図を基に考えるべきなのだが、手元に回路図が無いので基板の配線を追いかけて判断している。具体的には直接GND(グランド)にマイナス側が接続されていない物は回路間の結合コンデンサと考えて交換する、といった感じである。この場合、どちらの電位が高いのかは回路図が無いと分からないので、バイポーラタイプを使っている。GNDに直接接続されている物であっても、プラス側が信号経路に直接繋がっている物も交換の対象としている。だから、交換した個数が多くなった。見落としがあるかも知れないが、動作に不具合が出る訳ではないので、それはそれで良しとする。

 電解コンデンサの電圧や容量は、基板上の元の部品と同じ規格の物に交換した。
 修理業者に依頼したAW-1の内部を確認すると、電圧や容量の違う物が結構使われている。例えば、15Vの電源が供給されている回路に耐圧35Vのコンデンサを使っていたり、アンプ部には元の容量の倍以上のコンデンサを使ってたりしている。何かしらの意図があって元の部品とは違う物を使っているのだろうが、実際に聞き比べても通常使う音量の範囲内では違いは判らなかった。
# 大音量だと差が出るかも知れませんけどネ...
 コンデンサの耐圧は、電源電圧の1.5倍程度が(あくまでも簡易的な)目安とされているけれど、耐圧が高い分には問題は無いので、部品調達の都合でたまたま高い耐圧の部品を使ったという可能性もある。しかし、必要以上に耐圧が高いとサイズが大きくなって実装上の問題が出るし、再活性化に必要な電圧が掛からなくて性能を発揮できなかったりするから、単に「耐圧が高ければ良い」とは限らない。
 細かいことを言えばtanδとか、回路とESRの関係とか、ESLをどう考えるかとか、使う前の電圧処理をどうするのかとか、言い出せばキリが無い。今回は単純にグレードの高いコンデンサに置き換えた。

 元通り組み立てて音を出してみると、交換前よりは高音域が奇麗に出るようになってモコモコした感じは無くなった。ちなみに、必要な部品の費用は全部で1500円前後だが、手間は結構かかる。
 やらないよりはやった方が良いけれど、電解コンデンサは極性を逆にすると間違いなく発熱して液漏れ、下手すりゃ破裂するから、回路に疎い人が手を出すのは止めといた方が身の為なんじゃない?という感じである。

 さて、一応使えるようにはなったけれど、以前から「電源が入っているのかどうかがパッと見ただけじゃ分からない」というのが不満だった。電源スイッチを見て押し込まれた状態なら電源は入っていると判るけれど、動作中に光る部分が全くないので、気が付かずに電源を切らないまま放置という場面が過去に何度もあったのだ。
 組み立てる際、上の蓋を閉めようとして「ん?結構空きスペースあるじゃん。これならLED位は配線できるわ」と思い、別の用途にと多めに買ったLEDを流用することに。
別の用途の為に買った赤のLEDを流用する
まず、赤色LEDの点灯時の電圧を測定する。
赤色LEDの点灯時の電圧を測定しているところ
色々テストしてみて10mAほど流せば十分明るいと判る。
 イコライザの基板のプリントパターン面を見ると、白の印字で電源らしき表記(画像右上)がある。
イコライザの基板のプリントパターン面
拡大すると、こんな感じ。
イコライザ基板の電源接続部のアップ
ここから赤色LEDの電源を取れば良さそうだ。稼働状態でそれぞれの電圧を測定する。Vccは15Vと一寸ある。
イコライザ基板のVcc端子は15.62Vある
1/2Vccはほぼ5V。所謂デジタル回路用の電源電圧だ。
イコライザ基板の1/2Vcc端子は5.09Vある
電圧の低い1/2Vccを使う事にする。
 手持ちの抵抗にちょうど良い値の物が無いので、2本組み合わせて赤色LEDと電源を接続し、実際に光らせてみた。
試験的に1/2Vccに接続してLEDを点灯させたところ
赤色LEDの電圧が僅かに高いけれど、この程度なら問題無さそう。合成した抵抗値は652Ωだった。
合成抵抗値は652オーム
LEDと抵抗をハンダ付けし、無用なショートを避ける為にプラス側には熱収縮チューブを被せた。
LEDと抵抗をハンダ付けして熱収縮チューブを被せたところ
これをイコライザの基板の1/2VccとGNDの所へ直接ハンダ付けする。
赤色LEDの配線をイコライザ基板の電源端子に直接ハンダ付けしたところ
上側のスピーカグリル左側に、赤色LEDに合わせた3mmの穴を開ける。
上側スピーカグリルにLED用の穴を開けたところ
そこに赤色LEDを挿し込んで元通りに組み立てれば作業は完了である。
赤色LEDを取り付けたAW-1
これで電源が入りっ放しでも誰も気付かないなんていう事は防げるようになった。

 「これで完成だ」とホッとしながらネット上を彷徨っていたら、AW-1の液晶表示部にライトを付ける加工をする修理業者が居るらしい。「そういえば、液晶表示って暗くなると見えないよなぁ...だったら、LEDで照らせば良いじゃん。」と作業し始めたが、これが結構面倒なことに...

(続く)
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コメント 6

tama

Rifleさんくらいに電気知識があったら楽しいだろうな。
Philcoの真空管ラジオの照明を明るくして、ラックスのターンテーブルもブラックライトをLED化するのが、わが家の課題です。
ラジオの照明はスイッチを入れた瞬間、ピカッと明るく光るけどすぐ暗くなって、明るい部屋だと点いているのか消えているのか分からない状態です。電圧が大きく変動しているのでしょうね。
by tama (2017-01-24 11:41) 

Rifle

tamaさん
Philco?相当古そうですね。使われてる真空管は恐らくLoktal管でしょう。実物は見たことないですが、内部は部品がぎゅう詰めで修理が大変という話を随分前に聞いたことがあります。
電球の光量を維持するだけの電流が取り出せない状態なら、内部は大きく劣化していると思います。真空管ラジオは修理できる業者が案外沢山あるので、まずは診て貰う方が良いかも知れませんよ。
by Rifle (2017-01-24 13:56) 

tanukyan

コンデンサ総とっかえとは凄い!尊敬します
by tanukyan (2017-01-25 15:58) 

Rifle

tanukyanさん
交換するだけなので、大した事無いですよ。(^^;)
一応電子工学科卒ですから、この程度は軽ーく出来ないと。(汗)
by Rifle (2017-01-25 22:15) 

akdsstr

1/2VCCを電源にしてLEDを点灯するのはやめた方がいいですね。
1/2VCCはイコライザー回路のフィルターと、メインアンプの入力部でオペアンプの電圧比較用の基準電源として使われているだけでなく、トーンコントロールのボリュームにも結線されています。LEDには5mA流れていると推測できますが、1/2VCCの供給先の回路の入力インピーダンスを下げてしまうと、オペアンプの出力(交流)が入力端子に回り込み、基準電圧が交流的に変動して歪みの原因になります。1/2VCCの供給源はツェナーダイオードとトランジスター1石による安定化回路無しの構成(これ位はパターンを追って調べましょう。)ですから、負荷の変動に応じてこれも電圧が変動します。もう既に聴覚的に感じられる歪みが発生していると考えてもおかしくないでしょう。LEDを点灯させるならばVCC(15V)を電源にすべきです。
by akdsstr (2017-04-15 15:25) 

Rifle

akdsstrさん
やっぱりやめた方が良いんですねー。(^^;)
おっしゃる通り、パターンを追っていったら基準で使っている部分があったので「こりゃーマズいかも」とは思っていたんです。
ご指摘の通り、音量を上げると以前よりやや歪みっぽくなっていますので、早急にやり直したいと思います。
ご指摘有難う御座います。m(_"_)m
by Rifle (2017-04-15 17:18) 

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